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曲 目 解 説
うた・詩・歌 コンサート プログラム
男声合唱組曲「柳河風俗誌」全曲  北原白秋作詞
                 多田武彦作曲

1 柳 河
 
2 紺屋のおろく

 
3 かきつばた 
 

4 梅雨の晴れ間

 愛唱歌集より

1 琵琶湖周航の歌   小口太郎 作詞    吉田ちあき 作曲   伊東 剛 編曲


2 告 別        林 光  作詞作曲

3 小さな空      武満 徹 作詞作曲 古沢 利人 編曲

4 さらば青春     小椋 佳 作詞作曲 福永陽一郎 編曲

さらば青春     
 
男声合唱のバイブルとも言える福永陽一郎のグリークラブアルバム第三集より。

1975〜1976年は、小椋佳の一大ブームの年でしたが、この曲は、彼の当時のミリオンセラーアルバム「彷徨」でもラストを飾る、彼の代表作の一つです。福永陽一郎はこの名曲を、言葉のリズムを工夫する事で、さらに歌詞の表現力を高め、力強いアカペラコーラスの作品に仕立てあげました。

さらば青春     小椋 佳 作詞作曲

1 僕はよびかけはしない  遠く過ぎ去るものに
  僕はよびかけはしない  傍らを行くものさえ
  見るがいい   黒い水が
  抱き込むように 流れてく
  少女よ 泣くのはおやめ
  風も 木も 川も 土も
  みんな みんな 戯れの口笛を吹く

2 僕はよびかけはしない  遠く過ぎ去るものに
  僕はよびかけはしない  傍らを行くものさえ
  見るがいい   黒い犬が
  えもの探して   かけて行く
  少女よ 泣くのはおやめ
  空も 海も 月も 星も
  みんな みんな 虚ろな輝きだ
  ラララ ララ ララ ラララ ラララ 
      ララ ララ ラララ ラララー
告 別  
 
ニカラグア革命(1979年)が成功する前、政治犯として牢獄に囚われていた、
エドウィン・カストロが、ニカラグアが自由な世界になる事を夢見て、牢獄の壁に息子にあてて書いた遺書が、原詩です。ニ長調から、コーダで変ホ長調に移調して希望が見えるが、音楽は完結することなく中断される。この社会の解決されない多くの問題を暗示するがごとく。林光さんは、飢えている人の方が多いこの世界を、民衆に根ざした音楽の力で変革していこううと社会活動もしている音楽家です。今年起こったいやな事件も、私たちはせめて音楽の力を信じて、真の平和な世界になって欲しいと祈りながら
告 別        林 光  作詞作曲
1 息子よ明日は 全てが 変わっているだろう
  苦しみは 裏口から出てゆき 二度と戻ってこないだろう

  農夫は自分の土地に しっかり立って ほほ笑み
  労働者の娘も もう街角で 身を売ることはない

  田舎道も 川の流れも アスファルトの道路も
  ニコニコ笑いながら  暮らしを運んでゆく
  田舎道も 川の流れも アスファルトの道路も
  ニコニコ笑いながら  暮らしを運んでゆく

2 息子よ明日は 全てが 変わっているだろう
  銃弾も ムチも 牢獄の鉄格子も もうないだろう

  おまえは息子と手をつなぎ 通りを散歩するろう
  私がおまえと一緒に したくても できなかったことを

  若く 楽しい月日を 囚われて暮らすこともなく
  遠い異国の土地で 死ぬこともないだろう
  愛しあう者たちは いつも一緒にくらし
  祖国の大地の上で 楽しく眠るだろう

3 息子よ明日は 全てが 変わっているだろう
  苦しみは 裏口から出てゆき
琵琶湖周航の歌   
 
この曲は、歌声喫茶時代を経て、昭和46年に加藤登紀子さんが歌って、大ヒット
しましたが、旧制三高(現京都大)のボート部のテーマソングが元歌で、現在の曲に仕上がったのは、大正7年の事です。原曲は実に6番まであるのですが、船酔いの恐れがありますので、今日は三番までにさせてただきます。
小さな空      
 
武満徹と言うと、難しい現代音楽のイメージですが、虚心で聴くと、とんでもなく
美しい音楽の世界にはまり込んでしまいます。また、小品や、映画音楽、合唱曲も、エスプリの効いた楽しい曲が多いのです。「小さな空」は、1961年、あるラジオドラマの為に作曲された小品ですが、古沢先生の名アレンジでさらにチャーミングな合唱曲に生まれ変わりました。
 小さな空      武満 徹 作詞作曲

1 青空みたら    綿のような雲が
  悲しみをのせて  飛んでいった
  いたずらが過ぎて 叱られて泣いた
  こどもの頃を   憶いだした

2 夕空みたら    教会の窓の
  ステンドグラスが 真赤に燃えてた
  いたずらが過ぎて 叱られて泣いた
  こどもの頃を   憶いだしたた

3 夜空をみたら   小さな星が
  涙のように    光っていた
  いたずらが過ぎて 叱られて泣いた
  こどもの頃を   憶いだした
琵琶湖周航の歌   小口 太郎 作詞 吉田 ちあき 作曲

1 われは 海の子 さすらいの  旅にしあれば しみじみと

  のぼるさぎりや さざ波の   滋賀の都よ  いざさらば

2 松は緑に 砂白き おまつが里の 乙女ごは
  赤い椿の 森かげに はかない恋に なくとかや

3 波の間に間に漂えば 赤いとまりび 懐かしみ
  ゆくえ定めぬ 波まくら きょうは今津か 長浜か
御挨拶
 本日は、Voce del cuore、ベーレンタール男声合唱団合同演奏会にご来場いただき、ありがとうございます。今回のタイトル、「うた・詩・歌コンサート」は、わたしたちにとって身近なものに感じられる「うた」の世界(今回のプログラムでは、冒頭の愛唱曲集、沖縄の島唄の世界に誘ってくれる「ニライカナイの彼方から」)、さらに文学的な香りの高い「詩」の世界(北原白秋作詞の「柳河風俗詩」、吉野弘作詞の「心の四季」)、そして、ベルディ没後100年を記念した重厚なオペラの「歌」の世界を味わっていただきたいと、盛り沢山の内容のプログラムを用意しました。歌の多面な魅力をお伝えして、皆様の毎日の生活に、一つでも心に残る音楽を本日の演奏会でお届できたら幸いです。また、男声合唱、女声合唱、混声合唱というそれぞれ魅力的な、三つのコーラスのスタイルもお楽しみください。
 今回ご来場いただいた皆様、関係者各位、わけても御指導いただいた、今回の指揮者の小川先生と、古沢先生、また最後になってしまいましたが、団員の家族の協力に感謝して、厚く御礼申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。

     Voce del cuore、ベーレンタール男声合唱団団員一同
 
男声合唱組曲「柳河風俗誌」全曲  北原白秋作詞 多田武彦作曲
 
音楽に魔力を感じる時があるとしたら、異次元の世界に連れてってくれるような作
品に出会った時だろうか。
「柳河風俗誌」の詩は、明治44年に北原白秋が出版した、幼少期の思い出が強烈な画面を伴って紡ぎだされていく詩集「思い出」の中の一連の作品から、多田武彦が4編チョイスしたものである。「邪宗門」とほぼ平行して書かれた初期のエキセントリックな時代の作品で、序文からして彼の迸るエネルギーが満ち溢れて引き込まれる。
 
多田武彦の作曲は昭和29年で、彼の合唱組曲としては処女作である。曲のスタイ
ルは、斬新で、白秋の詩を真っ正面から手抜きせずに忠実に歌にしている。白秋の詩は、後の童謡を見ても解るとおり彼の詩自体に歌謡性がある為、そうした詩のスピリットを殺さない作曲という難しいテーマを達成した事によって、この合唱曲が際だった傑作になりえたのだろう。
 
一曲目「柳河」は、白秋の故郷、九州は水郷の街、柳河の、猥雑さも含めた廃市の
ノスタルジックな風景が描かれている。(余談ですが、福永武彦の小説「廃市」は、もちろんこの街が舞台です。)
 
二曲目「紺屋のおろく」少年の性への目覚めと大人の女性への残酷さをともなった
まなざし。この詩は、作曲家の(男?)心を揺すぶるものがあるとみえて、何人かの作曲家たちが曲を捧げている。
 
三曲目「かきつばた」廃市としての柳河が、かきつばたに託されて、切々とうたわ
れる。
 
四曲目「梅雨の晴れ間」柳河は、江戸時代から芝居心のある街で、舟の上で
素人歌舞伎が上演されてきた。また芝居小屋には、回り舞台(今だと新宿コマ劇場?)まであり、夏には、赤い隈取りを凝らした仮装行列が日に幾度となく繰り出した。しがない旅役者が垣間見た風景が、水車のリズムを背景にうたわれ、コーダとなる。

Voce del Cuore& ベーレンタール男声合唱団
合同演奏会


うた・詩・歌 コンサート